東日本大震災で甚大な津波被害を受けた陸前高田市には、200年以上前からゆずが生息していました。岩手県内でも陸前高田の気候は温暖で日照時間が長いことから、柑橘類の生産に適しています。
ゆずは市内の庭先に当たり前のように植えられており、震災前まで地元では地域の産物としての認識を持っておらず、「北限」の産物であるという認識もまったくなかったのです。しかし、震災を契機に地域外からの多くの支援などの人的交流のなかで、このゆずの持つポテンシャルに特産物としての認識が高まり、北限のゆず研究会が設立されました。
「北限のゆず」は陸前高田の復興の象徴として、ブランド化を目指しています。
現在、陸前高田市と大船渡市の一部地域を含めてゆず生産者は約180名ほどおり、その大半が既存樹(昔から植えられている樹)の生産者です。2013年に北限のゆず研究会発足後、数年にわたって新植樹(新たに苗木を植える)の生産者を募ってきました。ゆずは隔年結果性と言われており、また新たに植樹をしても収穫できるまでには5、6年は要するため収穫量は毎年安定せず、品質もB品(傷あり)が8割を占めています。
北限のゆずは香りが強いため、事業者からの引き合いが多く、令和3年度は過去最高10トン越えでも需要にお応えすることができていないのが現状です。更なる収量アップ、品質向上に向け活動していきます。
ゆずは捨てるところがないと言われるほど、果汁、果皮、種の活用ができます。香りが強く爽やかなため加工に向いており、お菓子やジュース、ジャムや調味料など様々な製品に加工ができます。また、ゆずが持つ効果や効能も人気の要因のひとつです。
北限のゆず商品は20種類以上も各事業者で開発されており、不動の人気となっている商品が多くあります。しかし、供給が安定していないため品切れとなってしまうケースが多いのが現状です。北限のゆず研究会独自の商品開発とともに、各事業者へ安定した供給とロスなく加工できる技術開発に取り組んでいます。
毎年、ゆず狩りサポーターによるゆず収穫や「北限のゆずを楽しむ会」などの交流活動を行っています。おかげさまで毎年多くのゆず狩りサポーターの方にご参加いただき収穫作業ができています。
毎年欠かさず参加していただく方や家族連れ、お友達同士でのご参加も多く、様々な交流の場となっています。また、「北限のゆずを楽しむ会」では生産者や事業者、ゆず狩りサポーターなど北限のゆずに関係する方々が一同会する機会でもあり多様な交流が生まれています。
これからも引き続き、この貴重な交流を継続すると同時に新たな交流の創出に向け、取り組んで参ります。